「…まさかミニーソンがこんなに強かったなんて、驚いたよ」
誰かわからない声が響く。
「…誰…?」
この声の主が今回の事件の犯人なんだろうか…
その声は、誰かに似ているような…
「…マスターの声にそっくり…」
シュクレのつぶやきにハッとなる。
たしかに僕の声にそっくりだ。
「…仕方がないな、僕は未来に帰ることにするよ」
声が遠くなっていく。
「お、おい! 未来ってなんなんだよー!?」
「…大丈夫だよ、おじいちゃん。僕らはまた会えるから…」
…おじいちゃん?
「…おじいちゃんって?」
「…それは秘密だよ、それじゃ、またね」
真っ白になっていたネットワークは、その言葉と共に消え去った。
「…ルセル!シュクレ!」
ネットワークとの接続が切れると共に、ルセルとシュクレはボディのほうに帰ってきた。
しかし、呼び掛けても反応はない。
「…やっぱりダメだったのか…?」
プログラムは不完全だった。
失敗する可能性はかなり高い
…覚悟はしていたものの、できれば帰ってきて欲しい…
「…帰ってきて、二人とも…」
知らず知らずのうちに、目から涙が零れる。
…僕の作ったプログラムが不完全だったから…
やっぱり僕はダメなのか…
「ルセル…シュクレ…」
神姫嫌いの僕を、神姫好きにしてくれた2人。
僕の世界を広げてくれた2人。
お願いだよ…僕の所に帰ってきて。
僕はまだ2人としたい事がたくさんあるんだ。
「うぅ…酷い目にあった…」
「…マスター、なんで泣いているんですか?」
…二人は目を開いた。
「ルセル、シュクレ!!!」
二人を手で抱きしめる。
「ちょっと、苦しいよ!」
「マスター、こんなに激しいのは珍しいですね」
ルセルは怒り、シュクレはなぜか照れている。
…いつも通りの二人だ。
「…おかえり」
「…ただいま、さとる」
「ただいま戻りました、マスター」
二人が僕を見つめている。
世界に絶望していた僕に、光を見せてくれた二人。
「皆さんが無事か気になります…」
「早くみんなに会いにいこうよね!」
「うん!」
僕は二人を肩に乗せると歩き出した。
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