「美音ー、こっちこっちー!」
美音さんについて行くと、美音さんはオーベルジーヌ社へと走っていった。
なんでオーベルジーヌ社に…?
オーベルジーヌ社の前には、俺よりは少し年上に見える、茶髪のツインテールが特徴的な女の子が手を振っていた。
「ちまり! 悟君がさらわれたってどういうことなの?」
「んっとね、なんか変なヤクザみたいのが、オーベルジーヌ社が新開発した新素材を強盗しにきて、断ったらミニーソンと引き換えにって…」
「何よそれ!?」
「ちまりは偶然遊びにきて奏さんから聞いたけど、警察も呼ぶなって。
星夜くんにも連絡したら、星夜くんその引き換え場所に突撃しに行っちゃったし…」
オーベルジーヌ社で悟って…リプカをくれたあの悟さん!?
「星夜君らしいわね…で、オーベルジーヌ社の人はどうするって?」
「えっとね、副社長の奏さんは会社に残って、社長の捲さんは…」
「ちょっとどいてもらっていいかな?」
気がつくとオーベルジーヌ社から悟さんに似たおじさんが出てきていた。
もしかして、この人が悟さんの父親にしてオーベルジーヌ社の社長の捲さん…?
「ミニーソンは無事なんですか…?」
「わからない…これから交渉に行くんだ。君達はよかったら星夜くんを止めてきてくれないか?
彼が危険な目にあったらいけない」
「わかりました、アタシたちに任せてください」
美音さんもちまりさんも捲さんと知り合いのようだ。
「…どうやら大変な事になっているようだな」
「あぁ…悟さん心配だな…」
リプカが胸ポケットから顔を出す。
「頼んだよ、それでは私は行くよ」
捲さんは車に乗ると、どこかに走っていってしまった。
「さて、アタシたちは暴走星夜君を止めにいきましょうか?」
「うん、ちまりたちにできること、しないとだもんね。場所は奏さんに聞いてるよ」
二人が歩き始める。
…って、男の俺だけ待ってるなんてありか!?
「待ってください、俺も行きます!」
「あら、危ないかもしれないのよ?」
美音さんが少し心配そうな顔をしている。
「美音、この子は?」
「彼は赤哉君よ、アタシの新しいボーイフレンド」
「はい! …って、ボーイフレンド!?」
美音さんの一言に衝撃を受ける。
「もう美音ったら、赤哉くん困ってるよ?」
「うふふ、アタシはちまりと違って年下も年上も好きよ」
「も、もう、美音!」
ちまりさんが美音さんをポコポコと叩いている。
「はじめまして、赤哉くん。よかったらだけど、お願いできるかな?」
「はい、任せてください!」
「では、出発よー!」
ちまりさんと美音さんと共に歩き始める。
男は俺だけなんだから、頑張らないと…!
「お兄ちゃん! おじいちゃんにタコ焼き…」
「今はそれどころじゃないんだよ!」
…今更追い付いたのかよ、抹黄…
抹黄は研究所に置いて、俺とちまりさんと美音さんはあるビルの下に来ていた。
下の方の階には風俗店が入っている、いかにも怪しげなビルだ。
「ここで神姫を使った裏バトルをやってるんだって。
お金をかけて、神姫を戦わせて…」
「ひどいね…」
「許せねぇ…」
神姫をそんなことに使うなんて…
「…よし、行ってみようか」
俺達はビルの中へと足を踏み入れた。
「月夜、蹴散らせっ!」
ビルの中に入ると、そこには薄暗い中にバトルロンドの機械が設置されていた。
バトルロンドでは今バトル中で、男の人がマシンの前で叫んでいる。
「星夜くん!」
「…って、ちまりちゃんか!?」
星夜くんと呼ばれた男の人が振り返る。
…星夜…月夜…って、ニコニコ区バトルロンドランキング一位で俺の憧れの星夜さんじゃねーか!?
「ここの奴らが、このバトルロイヤルで生き残ったら先に進ませてやるって言うんだ」
「バトルロイヤル…?」
モニターを見ると、俺がずっと憧れていた影型MMSの月夜さんが複数の神姫と戦っていた。
その数は数十体以上はいそうだ。
「星夜、一人じゃさすがに厳しいかもしれねーぞ!」
月夜さんは大剣を片手で軽々と振り回している。
「わかったわよ、雪卯、行けるわね?」
「はい、大丈夫です」
美音さんが雪卯さんを機械にセットする。
「…サナリア、がんばれる?」
「うん、お母さんたちにかわって頑張るよー」
ちまりさんの胸ポケットから、見たこともない神姫が現れた。
黄緑のポニーテールが特徴的だ。
「私たちも行くぞ、マスター」
リプカが機械へとジャンプで飛び移る。
「よし…リプカ、行くぜ!」
「あぁ!」
リプカが目をつぶると、モニターにリプカが移る。
俺が足を引っ張るわけにはいかないんだ、負けられねーぞ…!
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