「すいませーん、悟さんいますかー?」
昨日ちまりさんのサナリアさんに負けた俺は、オーベルジーヌ社の研究所に来ていた。
理由はもちろん、リプカの追加装備が完成していないか聞くためだ。
「いらっしゃいませ、赤哉さま。どのような御用件でしょうか?」
中からピンク髪のメイドが現れる。
オーベルジーヌ社のメイドのレイニーさんだ。
「あの…リプカの装備について聞きたいのですが…」
「わかりました。悟様の研究室までご案内しますね」
レイニーさんに連れられて研究所に入る。
やっぱり、ここは何度来てもワクワクするぜ…!
「こちらが悟様の研究室です、どうぞ」
「お邪魔しまーす」
中にはパソコンや工具などが並んでいる。
悟さんはパソコンの前に座っていた。
パソコンのある机の上には、白髪の神姫が2体並んでいる。
「赤哉くんか、いらっしゃい」
「あの…リプカの追加装備はどこまで出来てますか!?」
気になっていた質問を早速ぶつけてみる。
「実はすでに完成しているけど、テストがまだで…」
「ガレット…いなくなっちゃったもんね」
「私たちでテストできるような装備ではありませんし…」
悟さんと白髪の神姫たちが答える。
「…そろそろ赤哉くんを呼んでテストをしてもらわなきゃと話してたんだよ」
「それじゃあ…!」
完成しているなら、テストしたら終わりってことか…!?
俺は一気に熱くなっていく。
「テスト、俺にやらせてください!」
「私からもお願いする。今のままでは完全に力不足だ…」
リプカも悟さんにお願いしている。
「わかったよ、これからシミュレータでテストバトルをしよう。そうしたら最終調整だ」
「やったぜ、リプカ!」
「あぁ、任せておけ!」
リプカも嬉しそうだ。それだけここまで歯がゆい思いをしてきたんだろう。
「ならテスト開始だ、バトルシミュレータの部屋でリプカさんをセットして待っていて」
「え…追加装備は?」
追加装備無しじゃ、テストの意味がないじゃないか…
「始めたらわかるよ」
悟さんは少し笑いながら、俺をバトルシミュレータ室に案内してくれる。
…というか、相手も一体誰なんだ…?
「…普通に始まってしまったな」
リプカが辺りを見回す。今回のマップはなんの障害物もないマップだ。
既に遠くに敵神姫の姿が見える。
「とにかく、やってみるしかなさそうだな」
「あぁマスター、行くぞ!」
リプカが敵神姫に向かって走りだす。
《キュゥゥウン》
「なにって!?」
長距離にも関わらず、敵神姫から攻撃を受ける。
リプカは左腕のシールドでなんとかガードしたようだ。
「今の攻撃、確実に私の胸元を狙っていた…」
《キュンキュン》
「くっ!!」
続けざまに攻撃が加えられる。
これは…ライフルによる狙撃か!
「これでは近づくことができないぞ、マスター」
リプカもかなり焦っているようだ。
たしかに、今までに見たことのない正確な狙撃だ。
「仕方がない…できるだけ避けながら接近するぞ!」
「了解!」
リプカは敵神姫に向かって、もう一度走り出す。
その間も狙撃が続くが、ダメージを気にせず突き進む。
「ここからなら!」
リプカが跳ぶ。
そのまま槍を構え、勢いのまま突き刺す。
《キィィィィン》
「なに!?」
リプカの槍は、白い六角形の装甲に阻まれた。
白い六角形…白髪にピンクのメッシュ…この神姫は…
「…白魔型スノーフレーク!?」
「なんだ、それは?」
槍を弾かれ、一度着地したリプカが聞き返してくる。
「S.Projectってところが開発してる神姫で、KS装甲って目茶苦茶硬い装甲が付いてるんだ」
「私のこと、最初から知っているなんて珍しいですね」
その白魔型が口を開く。
「今回テストバトルを務めさせて頂きます、白魔型スノーフレークNo.20…シュクレです」
シュクレと名乗った神姫は、左肩に非常に巨大な盾を装備している。
あれでリプカの槍を防いだのか…
「…だからどうした!」
リプカが再び跳び上がり、槍を突き刺しにかかる。
「そんな単純な動きでは、私の盾は貫けませんよ」
シュクレさんは再び盾でリプカの槍を防ぐ。
「反撃、行きますからね!」
シュクレさんは右の腰の何かを構える。
あれは…ランチャー!?
「避けろ、リプカ!」
「わかっている!」
《ドォォォォン》
ランチャーから放たれたビームが、リプカのギリギリ横を通過する。
あんなの当たったら、一たまりもないぞ!?
「くっ…戦力に差がありすぎる…」
敵の盾は貫けず、攻撃を避けるのも限界がある。
このままじゃ…!
「キュァァァア!」
突然、何かの叫び声が響く。
《チュドォォォン》
上空から、シュクレさんに向かって赤いビームが放たれる。
シュクレさんは盾で防いだが、盾にダメージが残っている。
「…来ましたね」
シュクレさんが上を見上げる。
そこには、リプカと同じ黒と赤のカラーリングをしたドラゴンが空を飛んでいた。
『あれが黒竜型アスモデウスの追加装備…エクスハティオだよ』
悟さんから通信が入る。
追加装備がドラゴン…?
『あのままプチマシィーンとしても戦えるし、アスモデウスの背中に装備することもできるよ』
「エクスハティオ…」
リプカもドラゴンを見つめている。
「…ティオ、私の翼になれ!」
「キュアッ」
エクスハティオ…ティオがリプカのところに舞い降りると、ティオの翼がリプカに装着される。
翼には二本の剣とランチャー…これなら!
「これが私の翼、私の剣、私の砲…」
リプカが空に飛び上がる。
「マスター、反撃開始だ!」
「もちろんだぜ!」
これならいける…反撃開始だぜ!!
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