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なすへちま農園ブログ


武装神姫とかFAガールとかメガミデバイスとかドールとか
目次 | キャラクター紹介 | 用語
 

「で、そっちでの調査はどうなってんだ?」

「警察にも聞いてみたけど、相手の組織が大きすぎてわからないんだ…」

僕…堂元悟は、オーベルジーヌ社の研究室で星夜くんと以前に戦った組織の話をしていた。
神姫の裏バトルは聞いたことがあるが、まさかこんなに近くにいるなんて…

「…誘拐された神姫がいるんだよな?」

「うん…ガレットだけは取り返したい」

ガレット…黒竜型MMSアスモデウスの試作機だ。
あの事件で拉致された後、行方はわからない。

「だよな…神姫に罪はないもんな」

星夜くんも腕を組み、悩んでいるようだ。
月夜さんにいれこんでいる星夜くんらしい。

「…奴らの居場所が分かったら連絡をくれよ、俺がとっちめてやる」

「無理はしないでよ、星夜くん」

こういうすぐ行動に移そうとするところは、昔から変わっていない。

「分かってるよ、じゃあな」

星夜くんは手で挨拶すると去っていった。
…ガレット、今頃どこで何をしているのだろうか…



《ピンポーン》

「はい、どなたさまですかー?」

学校が終わりのんびりしていると、家のチャイムが鳴った。
すぐさま同じく学校から帰ってきていた抹黄が対応に走る。

「あの…私オーベルジーヌ社のレイニーと申します」

「あ、レイニーさんじゃないですか! どうぞどうぞ」

突然やってきたレイニーさんを家に招き入れる抹黄。
レイニーさんが何故こんなところに…?

「レイニーさん、こんにちはなのです!」

「はい、こんにちはリーシャさん」

リーシャがレイニーさんに挨拶している。

「あの、実は今日はリーシャさんに用があってきたのですが…」

「えっと…なんなのです?」

「てやぁぁぁあっ!」

突然レイニーさんのエプロンのポケットから、赤い大剣を持った神姫が飛び降りる。

「な、なんなのですか!?」

その大剣をリーシャはギリギリで避ける。

「リーシャ、こんなところにいたんだね!」

「の、希歌ちゃん!?」

リーシャがびっくりした顔をしている。どうやら知り合いだったらしい。

「希歌さんがリーシャさんにどうしても会いたいというので、連れてきました」

「わーい、会いにきてくれてありがとうなのです!」

抱き着こうとするリーシャを希歌さんはヒラリと避けると、リーシャはそのまま地面にダイブする。

「いたたなのです…」

「…リーシャ、ののかは今日真面目な話にきたんだよ」

希歌さんは大剣を構えると、リーシャに向かって振り下ろす。

《キィィィィンッ》

大剣の前にいつの間にか剣を構えたリプカが待っていた。

「人の家でいきなりバトルとは…貴様、なにものだ?」

「へぇ…あなたがアスモデウスとかいう神姫の試作機…」

「質問に答えろ!」

リプカが反対の手に持っていた剣で切り掛かる。
が、希歌さんはそれを下がって避けた。

「ののかはオーベルジーヌ社のテスト神姫だよ」

「はい、希歌さんにはテスト戦闘や試作装備のテストをやって頂いてます」

レイニーさんも説明に加わる。

「リーシャも元々はそこにいたのですよ!」

なるほど…だから知り合いだったのか。

「リーシャ、今日の用件は一つだけだよ」

「なんなのですか?」

「ののかと勝負して! 負けたらオーベルジーヌ社に帰ってきてよ」

希歌さんの口から出た言葉は衝撃的なものだった。
…よかった、じーちゃんとかばーちゃんいないときで…絶対話がややこしくなってたぜ…





その後希歌さんとレイニーさんから話を聞くと、リーシャがいなくなった事で寂しいので、希歌さんはリーシャを連れ返したいらしい。
希歌さんとリーシャは一番の親友だったそうなので、たしかに当然なのかもな…

「ちょ、ちょっと待ってよ、リーシャが戦うなんて嫌だよ!」

「なら…リプカちゃんでもいいよ?」

バトルの嫌いな抹黄が拒否すると、希歌さんはターゲットをリプカに変えた。

「ほう…貴様は私に勝てると?」

「そりゃあ、ののかのほうがだいぶ先輩だからねー」

希歌さんが大剣を振り回す。

「…マスター、この勝負、受けるぞ」

「負けたらリーシャが行っちゃうんだぜ?」

「勝てばいい」

リプカもリーシャには行って欲しくはないのだろう。
いつもうっとおしがってはいるが、一番身近にいる神姫仲間だもんな…

「施設はオーベルジーヌ社のものをご利用ください」

「迷っている暇はないぞ、マスター」

「わかった、いくぞリプカ!」

リプカが槍を振り回して答える。
この勝負、負けられないな…!





――Battle Rondo Ready...Go!

開始の合図と共に、リプカは前へ飛び出す。

「できれば先手を取りたい…頼むぞ、マスター!」

「もう遅いよ!」

リプカの横から、赤い大剣を持った希歌さんが現れる。
いかにも軽そうな装備に背中のブースター…これは素早そうだ。

「なんの!」

《キィーン》

大剣を槍で受け流す。

「まだまだここからだよ」

「やるな…!」

希歌さんは大剣を軽々と振り回すと、連続で切り付けてくる。
リプカは二本の剣で応戦するが、攻撃する隙が見つからない。

「焼鬼斬…」

希歌さんの大剣に炎が纏う。

「屍王っ!!」

「なにっ!?」

希歌さんの剣から炎が放たれる。
リプカは横に跳びギリギリで避ける。

「続けて行くよ、焼鬼斬…痛無魔夜!」

次は炎を纏った大剣を構え突きを繰り出してくる。

《ガシィィイン》

リプカは左手の盾で防いだが、盾は破壊されてしまった。
攻撃力も十分以上なようだ。

「ふん…やるようだな!」

リプカは空に逃げると、早速ランチャーの発射準備に入る。

「焼き尽くす!」

「!」

それを察知した希歌さんは、ブースターで急旋回しビームを避ける。

「マスター、この装備では奴についていけん。ティオを出すぞ」

「わかった、頼むぜリプカ!」

リプカは頷くと、背中のパーツを外す。
背中のパーツは姿を変え、ドラゴンが現れる。

「ティオ、援護しろ!」

「キュイッ」

ティオが空に飛び立つのと同時に、リプカが希歌さんに飛び掛かる。

《ガキィィィイン》

リプカは両手に持った剣で切り掛かる。
それを大剣一本で捌く希歌さん。

「まだまだだよ!」

「…かかったな!」

リプカが後ろに跳ぶと、希歌さんの後ろにティオが現れる。

「キュイッ」

ティオは希歌さんを口でくわえると、リプカのほうに投げ飛ばす。
リプカは剣を構えると、再び希歌さんのほうへと跳ぶ。

「これで…終わりだ!」

《ズシャアッ》

リプカが剣を振り抜くと、希歌さんを十字に切り裂いた。

―――You Win!





「…」

「希歌ちゃん…」

負けていじけている希歌さんを、リーシャが心配そうに見つめている。
…ちょっと悪いことをしたか?

「これが戦いだ、仕方あるまい」

「…わかってる、負けは負けだよ」

リプカの言葉に希歌さんが応える。

「…元はと言えば、リーシャがいけないんだからね?」

「…へ?」

希歌さんの言葉に、間抜けな答えを返すリーシャ。

「ちょっと前にオーベルジーヌ社に来たとき、ののかに挨拶もしていかなかったじゃないか!」

「…あ!?」

リーシャもなにか思い出したらしい。
こないだと言うと…リプカと初めて出会ったときだろうか。

「ふん…どーせリーシャは、ののかなんかより新しいマスターやリプカさんとかが好きなんだもんねー」

「あーん、ごめんなのです!このとーりなのです!」

拗ねる希歌さんに平謝りのリーシャ。

「ちゃんとまた会いに行くのです!」

「…本当?」

「本当なのです!」

そう言われた希歌さんは少し悩んだ後、笑顔でリーシャを見つめる。

「じゃあ今回は許してあげる」

「わーい、ありがとうなのです!」

「わぁー、抱き着くなー!?」

どうやら早くも仲直りしたらしい。

「…仲がいいのだな」

リプカも二人の様子を嬉しそうに見ている。
たしかに本当に仲良しなんだな…マスターと神姫の関係とも違う、本当の友達として…

「…しかし、真面目に戦った私の立場はどうなるんだろうな」

少しがっくりとするリプカなど関係なく、二人はワイワイと騒いでいた。
…まあ、仲良し二人組が仲直りできて、めでたしめでたし?

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プロフィール
ちの
神姫&ドールのアイペや布服の製作だけでなく、髪パーツの自作までするマルチな淑女。
2012/9/30に亡くなりました。記事にまとめてあります。


ちっぽ
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Threads:@nas_hechima
神姫の武装パーツや髪パーツの制作や、ブログの更新もする雄犬。
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