「…ずいぶん散らかっているな、この部屋は」
僕がPCのディスプレイの脇からドアのほうを見ると、開発室には不釣り合いな長い金髪がなびくのが見えた。
その人物はそのまま僕のところに歩いてくると、僕の隣に立ちPCを覗きこんだ。
「…新型のフェローネとエウリュノメⅡの交戦データか」
「うん、あの時はなんとか勝ててよかったけど…」
彼女は勝手にマウスを掴むと、僕がデスクトップに置いているファイルを開いていく。
マウスを操作するためにすぐ近くまで寄ったことにより、その長い金髪が僕の頬を撫でる。
…彼女と初めて出会ってから4年、最近一気に背も高くなった。
「…このデータは?」
それは今構想中の武装神姫のデータだった。
お父さんが作った魔王型CSC搭載神姫に匹敵し、エウリュノメと違い単体で動作する武装神姫…
「まだ構想段階だけど、僕なりに今できる最高の神姫を作りたいんだ」
「…ふむ、これはなかなか面白い設計思想だな…」
彼女はどんどんデータを読み進めていく。
彼女の傍若無人っぷりは、日に日に度合いを増していく。
…まぁ、本物の“お姫様”なのだから、それもいいのかもしれない。