忍者ブログ

なすへちま農園ブログ


武装神姫とかFAガールとかメガミデバイスとかドールとか
目次 | キャラクター紹介 | 用語集

※東雲さんの小説よりキャラクターをお借りしております。すみません。

神姫を持っていない僕に何をしろというのか。
僕はあまりの衝撃に呆然としていた。

「…そう言われても、ミニーソンって神姫持ってないよね」

ちまりちゃんも気がついたらしい。

「神姫を持ってないのに神姫センターにいるのか、お前は?」

星夜くんもすっかり呆れている。
…仕方がないじゃないか、ちまりちゃんに連れてこられただけなんだから…

「まったく…女の子一人守れないなんて情けないわね」

「なさけないねー」

姫子さんとアウラさんも続く。
…みんなそこまで言わなくてもいいじゃないか…
心の中が、さっきまでの闇の中に戻りそうになっていた。



「…これは見逃せないね」

突然後ろから声をかけられる。
振り返ると、黒いコートを着た長身の女性が立っていた。

「ピンチの女の子にライバルっぽい男の子、それにまだ無力な主人公と…実にいい展開じゃないか」

女性は3人をじろじろと見比べながら話している。
どうやらここまでの話は全て聞いていたらしい。
不審人物としかいいようがない。

「実に青春でベタな展開だ。これはとても放ってはおけない」

「…なんだ、お前は?」

星夜は女性を下から睨みつける。
僕たちよりもかなり背が高い。

「…っとこれは失礼、私はこういうものだ」

懐から名刺らしきものを取り出し、3人に渡してくる。
…よく見ると、姫子さんとアウラさんも受け取っている。

『"S.Project"開発局 局長 周防夏希』

…S.Project?
どこかで見たことがあるような気がする…どこだったか…

「このまま無力な少年が無力なままでは展開が終わってしまうな…どうしたものか…」

僕の顔をじろじろと見てくる。
背が高すぎてよく見えなかったが、かなり美人な顔立ちをしている。
少し恥ずかしくなって、目をそらすが追ってくる。
何度か繰り返していると、女性は少しびっくりしたような顔をした。

「…もしかして、君は堂元悟くんかい?」

「え…は、はい」

突然名前を呼ばれたことにびっくりする。

「そうか君が悟くんか!いやー、それはよかった、君を探していたんだ」

何故この人が僕を探すのか…?
心当たりはまるでなかった。

「君のお父さんから、君にこの子たちを渡すように頼まれていたんだ」

後ろから大きなアタッシュケースを2つ取り出す。
ずいぶん重そうだが、この人は1人で持っていたのだろうか。

「中に入っているのは、白魔量産型No.18と19だ」

神姫を僕に…?
父は何を考えているのだろう。
こうすれば僕が断らないとでも思ったのだろうか。

「1人に2体も渡すのは前代未聞だが、こんなベタ展開に混ざれたことを考えれば安いものだ。今頃ぶっ倒れている局員達も満足だろう」

「…あの周防さん、僕は…」

…いくらなんでも断らないといけない。
しかし、僕の言葉は相手の言葉でかき消された。

「白魔型MMSスノーフレーク量産型は我々が現在開発している神姫だ。まだ市販はされていないが、一般の人にモニターになってもらっている」

あまりに一気に話すせいで、僕は割り込む隙を見失った。

「君にオーベルジーヌ社にもテストをしてもらう事になってね、お父さんは君にそのモニターになってもらいたいそうだ」

だからこの人は僕の事を知っていたのか…
…そもそもお父さんは僕の写真なんて持っていたのか…?

「…えと、だから僕は…」

「No.19は白魔量産型Ver.R、No.20は白魔量産型Ver.Lを装備している。この装備の特徴は…」

僕の声が小さすぎるのか、女性は話を続けている。
僕は話を止めるのを諦めた。



「…そんなわけでだ、この2人は君のものだ。君が2人を育てていってくれ。後の事はお父さんに伝えてある」

女性は一通り話し終わると、後ろに振り返りどこかに行こうとする。
…ちょっと待って、こんなもの押し付けられても困る。

「ちょっと待っ…」

「…最後に少年」

女性が一度振り返る。

「青春は大事にな、歳を取ってしまったら、もうゲームかアニメか漫画でしか味わえない…」

それだけ言い残すと、女性は神姫センターを出て行ってしまった。

COMMENT

青春は大事にな、歳を取ってしまったら、もうゲームかアニメか漫画でしか味わえない…」

名言きた(笑)
MiKeさん>
現在学生な方が羨ましいです。
今思うと、大事な時間だったと思います。
名前
メール
URL
本文
パスワード
プロフィール
ちの
神姫&ドールのアイペや布服の製作だけでなく、髪パーツの自作までするマルチな淑女。
2012/9/30に亡くなりました。記事にまとめてあります。


ちっぽ
Twitter:@po_chippo
Threads:@nas_hechima
神姫の武装パーツや髪パーツの制作や、ブログの更新もする雄犬。
カテゴリー
過去ログ
2024年01月(1)
2023年11月(2)
2023年09月(1)
2023年07月(2)
2023年04月(1)
2023年03月(1)
2023年02月(1)
2022年11月(1)
2022年08月(1)
2022年05月(3)
2022年03月(1)
2022年02月(1)
2022年01月(6)
2021年12月(2)
2021年11月(1)
2021年10月(4)
2021年09月(1)
2021年07月(1)
2021年05月(1)
2021年02月(2)
2021年01月(3)
2020年12月(1)
2020年11月(2)
2020年10月(1)
2020年09月(1)
2020年07月(2)
2020年06月(2)
2020年05月(3)
2020年04月(1)
2020年03月(1)
2020年02月(1)
2020年01月(1)
2019年12月(1)
2019年09月(2)
2019年08月(2)
2019年06月(1)
2019年05月(4)
2019年04月(3)
2019年02月(2)
2018年12月(3)
2018年11月(3)
2018年10月(3)
2018年09月(1)
2018年08月(1)
2018年07月(2)
2018年06月(4)
2018年04月(1)
2018年03月(2)
2018年02月(2)
2018年01月(2)
2017年12月(2)
2017年10月(3)
2017年09月(1)
2017年07月(1)
2017年05月(1)
2017年04月(1)
2017年03月(1)
2017年01月(4)
2016年12月(3)
2016年10月(1)
2016年09月(1)
2016年08月(1)
2016年07月(2)
2016年06月(1)
2016年05月(2)
2016年04月(3)
2016年03月(1)
2016年01月(3)
2015年12月(3)
2015年11月(2)
2015年10月(2)
2015年09月(4)
2015年08月(1)
2015年07月(2)
2015年06月(2)
2015年05月(2)
2015年04月(2)
2015年03月(3)
2015年02月(3)
2015年01月(2)
2014年12月(2)
2014年11月(2)
2014年10月(4)
2014年09月(1)
2014年08月(2)
2014年07月(3)
2014年06月(2)
2014年05月(5)
2014年04月(3)
2014年03月(6)
2014年02月(4)
2014年01月(4)
2013年12月(4)
2013年11月(4)
2013年10月(4)
2013年09月(4)
2013年08月(2)
2013年07月(6)
2013年06月(6)
2013年05月(8)
2013年04月(8)
2013年03月(7)
2013年02月(9)
2013年01月(17)
2012年12月(14)
2012年11月(20)
2012年10月(22)
2012年09月(15)
2012年08月(11)
2012年07月(10)
2012年06月(12)
2012年05月(23)
2012年04月(23)
2012年03月(13)
2012年02月(13)
2012年01月(25)
2011年12月(17)
2011年11月(15)
2011年10月(28)
2011年09月(13)
2011年08月(21)
2011年07月(35)
2011年06月(39)
2011年05月(39)
2011年04月(31)
2011年03月(31)
2011年02月(32)
2011年01月(32)
2010年12月(32)
2010年11月(32)
2010年10月(16)
2010年09月(19)
2010年08月(22)
2010年07月(28)
2010年06月(27)
2010年05月(20)
2010年04月(17)
2010年03月(17)
2010年02月(19)
2010年01月(18)
2009年12月(32)
2009年11月(24)
1923年02月(105)
1923年01月(1)
1922年01月(1)
コメント
リンク
<<小説『武装神姫 双子のスノープリンセス』 第五話  | ホーム |  小説『武装神姫 双子のスノープリンセス』 第三話>>
[202][201][200][199][198][197][194][190][189][447][484]
PR

[PR]
/ 忍者ブログ